『JR東日本カップ2023 第97回関東大学サッカーリーグ戦』3部リーグ第15節は、9月30日(土)と10月1日(日)の2日間で行われた。
3部リーグ第15節 全結果・順位表
東京農業大学 0(0-0)0 中央学院大学 @東京農業大学世田谷キャンパスグラウンド
8位・東京農業大学と、ここ6試合白星がない6位・中央学院大学の一戦。前半、主導権を握ったのはアウェイの中院大だった。前半は東農大がシュート2本に終わったのに対し、中院大は小柳陸の2本のシュートなどで合計5本のシュートを放つが、双方ゴールを割ることなく0-0で前半を終了。すると、ハーフタイムに中院大ベンチが動く。横山紫音に替えて北村大を投入。前線のピースを変更することで試合を優位に進めようとした中院大だったが、後半もなかなか得点をとることができない。両チームの堅い守備が光った一戦はスコアレスドローに終わり、東農大は9位に後退。一方の中院大は6位をキープしながらも、上位と勝点差が広がる結果となった。
城西大学 6(0-1)1 平成国際大学 @JOSAI SPORTS FIELD 第1G
1部リーグ初昇格へ向け上位進出を狙う3位・城西大学と7位・平成国際大学の埼玉県ダービー。城西大のホームで行われた試合は、アウェイの平国大が先手を取った。平国大は41分に獲得したペナルティーキックを加藤佑弥が右下に蹴りこんで先制。しかし、後半に入ると城西大が一気に猛攻を仕掛ける。まずは49分、城西大は右サイドから庄司景翔がクロスを上げるとゴール前で吉川元輝がボレーシュートを叩き込んですぐさま試合を振り出しに戻す。54分には、吉川元輝がペナルティーキック決めて逆転に成功すると、63分にも吉川元輝が決めて、わずか14分間でハットトリックを達成。吉川のハットトリックで勢いづいた城西大は、その後も平国大ゴールに襲い掛かり、71分と87分に佐藤遼、76分に宮田優がゴールを決めて6発快勝。平国大はまさかの後半6失点で先制点を守りきれず、勝点を得ることはできなかった。
明治学院大学 3(3-1)2 神奈川大学 @明治学院大学横浜キャンパスヘボンフィールド
前節7試合ぶりに勝利した10位・明治学院大学と首位・神奈川大学の一戦。先制したのは神大だった。13分、磯部直也のシュートのこぼれ球を、田中隼太が詰めて先制。首位・神大がこの試合も優位に進めるかと思われたが、明学大がすぐさま同点に追いつく。19分、明学大・保土原大貴のクロスは神大のゴール前をすり抜けて逆サイドへ。そこに待ち受けていた大竹駿がゴールネットを揺らして1-1に。明学大はさらに28分、大竹のスルーパスに抜け出した渡辺創太のゴールで逆転に成功すると、34分には今井陸翔が保土原のクロスをボレーで合わせて3点目。勢いに乗った明学大が首位相手に2点をリードして前半を終えた。2点を追う神大は後半開始からボールを支配して明学大ゴールに迫る。すると53分、神大にビッグチャンスが訪れる。神大・中村大輝がドリブルで左サイドの突破からゴール前に入れたクロスは、一度明学大DFにクリアされるものの、ペナルティーエリアの外にポジションをとった小林泰輔のもとへ。小林(泰)がトラップしてから右足を振りぬいたシュートは、不規則な回転を描きながら相手GKの左を打ち抜く。1点差に迫った神大は試合終了間際にもコーナーキックから相手のハンドを誘発し、ペナルティーキックを獲得。キッカーは途中出場の細田皐太。だがシュートはポストに直撃し、神大は同点に追いつくチャンスを活かすことができなかった。そのまま明学大が1点のリードを守り切ってタイムアップ。明学大は2連勝を収めて10位から8位に浮上。一方、敗れた神大はチャンスを活かしきれず今季リーグ戦2敗目を喫した。
共栄大学 1(1-2)3 東京学芸大学 @共栄大学サッカーグラウンド
ともに降格圏内に沈むチーム同士の下位対決。今季未勝利の最下位・共栄大学と、前節の引き分けで久しぶりに勝点を獲得した11位・東京学芸大学の試合は、勝てば関東リーグ初勝利、そして最下位脱出となる共栄大が先制点を挙げる。共栄大は17分、ドリブル突破でペナルティーエリアに侵入したところを倒されてペナルティーキックを獲得。これをキャプテンの佐合陸哉が相手GKの逆を突いてゴールネットを揺らした。しかし東学大も28分、半田祥真のミドルシュートで同点に追いつくと、32分には久保太輔が味方のシュートのこぼれ球を押し込んで逆転に成功。わずか4分で試合をひっくり返した東学大の1点リードで前半は終了した。後半は両チームチャンスを作るものの得点には至らず、東学大が1点リードのまま試合終盤へ。すると後半アディショナルタイムに突入した90+3分、東学大・高橋克明が相手DFのクリアボールをゴールに突き刺して勝負あり。両チームともに10本以上のシュートを放ち、果敢に攻撃を仕掛け続けた試合は1-3で東学大に軍配が上がった。東学大は第2節の共栄大戦での勝利以来、13試合ぶりとなる勝点3を獲得。負けた共栄大はこれで5連敗となり、またもや初勝利はお預けとなった。
専修大学 2(0-2)3 慶應義塾大学 @専修大学生田北グラウンド
勝点27で4位につける専修大学は2位の慶應義塾大学をホームに迎えて対戦。前日の試合で首位・神奈川大学が敗れたため、この試合で慶大が勝てば優勝が射程圏内に入る。一方の専大も勝てば1部リーグ昇格圏内が近づくとあり、双方“絶対に負けられない"上位対決だ。試合は立ち上がり、専大が積極的にボールを動かすが、「急ぎ過ぎた」(専大・浦川流輝亜)ためか、なかなかゴールが奪えない。20分過ぎには、村上千歩が倒されて専大がペナルティーキックを獲得。しかし、村上のキックは慶大GK・根津拓斗が弾き、専大は絶好の得点機を逸してしまう。逆に41分、慶大は茅野優希のクロスに田中雄大が反応。放ったシュートはDFにクリアされるものの、こぼれ球を拾うと再び右足を振りぬいてゴール右隅に流し込んだ。このゴールで勢いに乗った慶大は続けざまに43分、茅野がヘディングシュートを決めて0-2に。あっという間にリードを2点差に広げた。慶大はハーフタイムに塩貝兄弟の兄・塩貝亮太に替えて弟の塩貝健人を投入。2点を追う専大も渡邊弘和と松永颯太を投入して流れを引き寄せようとする。専大は少しずつチャンスを作ると、67分に貝賀鼓太郎がスルーパスに抜け出して1点を返す。さらに飲水タイムを挟んだ70分には、浦川流輝亜が一丸大地のクロスに合わせて同点ゴール。専大が少ないチャンスながら決定機をものにして試合を振り出しに戻した。試合は2-2のまま最終盤に差しかかり、ドローで試合終了かと思われた。だが、90+2分、3部リーグ得点ランキングトップに立つ塩貝(健)が相手DFを背負いながらも右足を振りぬき、シュートをゴールに突き刺し勝ち越し点。土壇場のゴールで慶大がスコアを3-2とし、劇的勝利を収めた。
接戦をモノにし、首位にまた一歩近づいた慶大。淺海友峰監督は「連戦ということを考慮して選手の配置や交代を行ってきたが、イメージどおりにはいかなかった。専大さんのクオリティーの高さを感じたのが正直な印象」とコメント。短時間で2失点を喫する場面もあったが「うちのシャドーがプレスにいけないところから(ボールを)放り込まれた」との問題点を修正してもちなおし、最後はスーパールーキーの一撃で勝点3を獲得。首位との差を勝点2にまで縮めた。一方、専大は劣勢ながらも巧みなゲーム運びで慶大をあと一歩のところまで追いつめた。しかし「後半は中盤の層を厚くして戦い方を変えたことで追いついたが、最後にやられるところが自分たちの弱さ」(浦川)。順位は変わらないながらも上位と差を空けられ優勝はかなり厳しい状況に。それでも「今は厳しい戦いが続くが、それ以上に自分たち走っている。そこは負けないという想いで勝点3を積めるようにしていきたい」と語った。
國學院大學 2(1-0)0 東京経済大学 @國學院大學たまプラーザキャンパスグラウンド
前節で慶大に大敗を喫した9位・國學院大學と昇格圏内を狙う5位・東京経済大学の一戦。両チームは昨季の東京都1部リーグでも対戦をしており、その時は國學大が2連敗を喫した。しかし関東3部リーグの舞台ではの國學大が勝利し、ホームのこの試合に2連勝をかけて臨む。立ち上がりはどちらも譲らない拮抗した展開となったが、35分、ついに試合の均衡が破られる。國學大は多田夢都、宮原和へとボールをつなぐが、これは相手にカットされてしまう。しかし、こぼれたボールを麻生哲平が左足で決めて國學大が先制する。後半に入ると両チーム攻勢を強めるが、双方ゴールを決められない。國學大の1-0リードで終わるかと思われた90+4分、再び試合が動く。國學大の田中琢人がドリブルでチャンスメイク。ペナルティーエリア内にポジションをとった鈴木善にパスを送ると、鈴木はこれをワンタッチでゴールへ流し込んで2-0に。試合はほどなくして終了し、國學大がシーズンダブルを達成して7位に浮上した。敗れた東経大は上位進出へ足踏み状態となっている。
リーグ戦も終盤に差し掛かり、優勝争いはさらに激化している。首位を快走する神奈川大学が8試合ぶりに敗れる一方で、2位の慶應義塾大学と3位の城西大がそろって勝利したため、1位から3位までの勝点差は4ポイント内に。特に、首位・神大と2位・慶大の差は2ポイントと、次節にでも逆転が可能な状況となっている。今節勝利した國學院大学は7位に浮上し、首位・神大から大金星をあげた明治学院大学は10位から8位へジャンプアップ。一気に降格圏を脱出した。対照的に、城西大学に6失点で大敗した10位の平成国際大学が降格圏に。中位から下位グループは勝点が詰まっているだけに、今後は得失点差も順位変動のカギを握ることになりそうだ。
『JR東日本カップ2023 第97回関東大学サッカーリーグ戦』3部リーグ第16節は10月7日(土)に3試合、10月8日(日)に3試合が行われる。注目は優勝を狙う2位・慶大と3位・城西大の直接対決。第16節ではどんなドラマがみられるのだろうか。注目の一戦に向け、それぞれの準備はもう始まっている。