『JR東日本カップ2023 第97回 関東大学サッカーリーグ戦』2部リーグ第18節は、10月22日(日)に全6試合が行われた。
2部リーグ第18節 全結果・順位表
早稲田大学 4(0-0)0 青山学院大学 @早稲田大学東伏見サッカー場
6位の早稲田大学と10位の青山学院大学。今季リーグの前半戦では、1-1ドローで勝点1を分け合ったチーム同士の対戦。立ち上がり攻勢に出たのは、ホームの早大だった。早大はジュビロ磐田内定・植村洋斗を中心とした素早いパスワークで相手ゴール前に迫る。対する青学大は新玉瑛琉がディフェンスラインの統率を取り、簡単にはシュートを打たせない。結局、前半は互いに決定機を作ることがでないまま、0-0で試合を折り返した。だが、後半に入ると一気にスコアが動く。53分、『アジア大学サッカートーナメント』のMVP・山市秀翔が右サイドでボールを受けドリブルで突破。インサイドへ切り込むと、ペナルティーエリア外から迷いなく左足を振り抜く。カーブを描いたシュートがゴール左隅に吸い込まれ、早大が待望の先制点を獲得する。このゴールで勢いづいた早大は5分後の58分、コーナーキックからのこぼれ球を成定真生也が拾い右に展開。森璃太が入れたクロスを神橋良汰が頭でつなぎ、最後は安斎颯馬が左足のシュートを叩き込む。さらに66分、早大は植村がドリブルで中央を突破しシュート。ボールは左ポストに当たったが跳ね返りを山市が流し込み、この日2ゴール目となる得点を決めて3-0に。早大が、5分弱の間に3得点を挙げて青学大を一気に突き放した。早大は終了間際の88分にも、途中出場の鈴木大翔がゴールを決め4-0で試合終了。完勝を収めた早大は順位をひとつ上げて5位に浮上。一方、青学大の連勝は2で止まり、降格圏からの脱出は叶わなかった。
立正大学 2(0-1)2 駒澤大学 @立正大学熊谷キャンパスサッカー場
直近4試合で勝利が無い4位・立正大学にとっては、首位・駒澤大学との一戦は優勝を目指すためには落とせない一戦。まさに“大一番"といえる試合となったが、最初にゴールネットを揺らしたのは駒大だった。35分、小林栞太のコーナーキックを鈴木心月が頭で合わせて先制。だが「1点を失ったからといって崩れてしまったら相手の思うツボ。やり続けることで相手の隙を引き出していこうと思った」(主将・杉本光希)という立正大は、後半の立ち上がりから攻勢を強める。すると60分、立正大は吉野陽翔が右サイドから上げたクロスボールで相手のクリアミスを誘い、最後は久永武蔵が右足でゴールネットを揺らす。同点に追いついた立正大を、さらに勢いづかせたのが67分の駒大・鷹啄トラビスの警告2回による退場だった。数的優位に立った立正大は77分、久永がこの日2点目となるゴールを決めて逆転に成功する。しかし、このまま終わらせないのが首位・駒大の強さ。試合終了間際の87分、競り合いのチャージからペナルティーキックを獲得。これを小島心都がゴール左隅に沈めて同点に追いつく。試合は2-2のままタイムアップ。これで5試合連続勝ちなしとなった立正大は、首位・駒大と勝点が5差に広がる結果に。主将の杉本は「ジャッジの関係で自分も感情的になってしまったが、そういうシーンはまず未然に防がないといけない」と反省しながらも「先ばかり見ていても仕方がない。まずは次の関東学院大学戦に勝って、1試合1試合最終戦のつもりで勝点を積み上げていくしかない」とコメント。一方、駒大も2試合連続の引き分けとなり、2位の関東大との差が勝点2に縮まるなど苦しい状況。秋田浩一監督は「前半は結構はまっていたし(前半のうちに)もう1点取れていれば、とは思うが、あくまで“たら、れば"。最終的にはこれが今の実力」としながらも「ここにきてハードワークができる選手が揃ってきた」との好材料も。残りは4試合となるが「とにかく勝ちを目標にしてやっていきたい」と語った。
産業能率大学 1(1-1)2 順天堂大学 @産業能率大学第二グラウンド
前節の敗戦で2部参入プレーオフ出場圏の9位にまで順位を落とした産業能率大学と、前節の勝利で順位を7位に上げて降格圏から遠のいた順天堂大学の一戦。試合は開始早々から動いた。5分、順大は名須川真光がシュートを放つが、これは相手GKが弾いてゴールならず。しかし、こぼれ球に詰めていた栗原諒が冷静に流し込み、順大が先制する。だが、産能大もすぐさま反撃を開始。12分、松森堅誠が右足を振り抜くと、こちらも相手GKがセーブ。しかし、弾いたボールを拾った松森が再度シュートを放ち産能大が同点に追いついた。早い時間帯にスコアが動いたものの、その後は試合が膠着。激しいバトルを繰り広げながらも、後半半ばまで両チーム追加点を決めきることができない。再び試合が動いたのは71分。順大は岩井琢朗が前線へロングフィードを送ると、これに梶原豊が反応。飛び出してきたキーパーをかわし、無人のゴールへとシュートを流し込む。勝負強さを見せつけた順大が、1-2と勝ち越して試合終了。2連勝の順大は、順位は変わらないながらも8位・立教大学とのポイントを4差に広げ、降格圏から大きく離脱。残り4試合でどこまで昇格圏内まで近づけるか。一方敗れた産能大は3連敗。上位とは勝点1差とはいえ、厳しい状況に追い込まれた。
山梨学院大学4(3-2)2日本体育大学 @山梨学院大学川田ツインサッカー場
前節の勝利で3位に浮上。1部リーグ昇格圏内を捉えた山梨学院大学と、その山学大を勝点3差で追う5位・日本体育大学の一戦。試合は、両チーム一歩も引かない激しい打ち合いとなった。先制は山学大。3分、岡澤韻生が相手のクリアミスを拾って先制点を決めると、その2分後の5分には日体大も松原海斗のフワリとしたクロスを、吉原翔大が頭で叩き込みすぐさま追いつく。すると11分、山学大は池田悠夢のグラウンダーのクロスを藤田夏寿丸が突き刺して再び勝ち越す。しかしまたしても2分後の13分にスコアが動く。日体大は松原がペナルティーエリアの外からミドルシュート。これはGKが防ぐものの、弾いたボールを岡崎大志郎が決めてこちらも再び同点に追いつく。乱打戦はまだまだ終わらない。5分後の18分、山学大はスローインからチャンスを作ると、最後は金津力輝がヘディングシュートを叩きつけて三度勝ち越し点を上げる。一瞬たりとも目を離せない乱打戦はここでようやく落ち着き、3-2の山学大リードで試合を折り返した。後半は前半とは一転、互いに慎重な試合運びとなった。両チーム追加点のないまま終盤に差し掛かり、スコアが動いたのは終了間際の86分。山学大は中田開人が前線にロングボールを入れると相手DFがクリアミス。これを拾った藤田が右足でシュートを突き刺し、この日2点目となるゴールで4点目をマーク。この得点が試合を決定づけ、激しいゴールの奪い合いとなった試合は4-2で山学大が勝利した。山学大は、勝点1差で2位・関東学院大学をピタリと追随。一方、日体大は6位に後退し、昇格圏内とは勝点6差が開く結果となった。
立教大学 0(0-1)2 関東学院大学 @立教大学富士見総合グラウンド
3部リーグ降格圏内が近づく8位・立教大学は2位・関東学院大学をホームに迎えて対戦。前節は7発大勝の関東大は、その勢いのまま開始早々の3分に先制ゴールを挙げる。3分、佐藤未来也が頭でつないだパスに吉田遥汰がヘディングシュートを叩き込み関東大が先制する。しかしその後は互いに放ったシュートが1本ずつと膠着状態に。0-1のまま前半を終えた。関東大は64分、2試合連続ゴールの吉田に代えて上田英智をピッチへ送り出す。すると76分、その上田が結果を残す。関東大は中盤で相手からボールを奪うと、パスを受けた上田がドリブルで前線へ。左に
パスを展開すると、これを芦部晃生が落ち着いて決め0-2に。その後は関東大が危なげなく試合を運び試合終了。勝利した関東大は自動昇格圏内の2位をキープ。首位・駒澤大学が引き分けに終わったため、その差を2ポイントに縮めた。
作新学院大学 4(1-0)1 亜細亜大学 @作新学院大学サッカー部グラウンド
10位・青山学院大学の結果いかんでは今節にも3部リーグ降格の可能性がある11位・作新学院大学。回避条件はただ勝利のみ。前節、3部リーグ降格が確定した12位・亜細亜大学を迎えての試合は、立ち上がりから作新大が攻勢に出る展開となった。作新大は開始早々の4分、野邊滉生のパスに反応した松本葵生が右足でゴールネットを揺らし、作新大が幸先の良いスタートを切る。だが、その後は互いにチャンスは作るものの得点には至らず、1-0で前半は終了。後半に入ると前半以上に作新大が試合を圧倒するものの、スコアは動かず時間が過ぎる。作新大は71分にFWの井出蓮を投入。すると井出は出場してすぐに右サイドをドリブルで持ち上がると、ゴール前にクロスを入れる。これを横田文洋がヘディングで叩き込んで2-0に。反撃に出たい亜大は81分、相手DFのクリアボールを拾った磯崎碧が右足を振り抜きゴール。1点差に迫るが、作新大は89分に井出、そしてアディショナルタイムの90+2分にも安岡蒼空が連続でゴールを奪い4-1に。終盤に得点を重ねた作新大が4-1と大勝し、2部リーグ残留に向けて大きな勝点3を手にした。
今節の結果による順位の変動は5位・早稲田大学と6位・日本体育大学の入れ替わりのみ。しかし、首位の駒澤大学が2試合連続ドローとなったことで、上位グループの2部リーグ優勝・1部リーグ昇格争いは熾烈を極めている。駒大と4位・立正大学までの勝点差はわずか5。残り4試合の結果次第では7位・順天堂大学にまで優勝の可能性が残る大混戦となった。また2部残留争いからも目が離せない。8位の立教大学と2部参入プレーオフ出場圏の9位・産業能率大学の勝点差はわずかに1。10位・青山学院大学とも3ポイント差とあって、今後の展開次第では入れ替わりもありそうだ。また、今節は勝利した11位・作新学院大学も、次節で引き分け以下の場合、他チームの結果次第では3部降格が決まる可能性がある。対戦相手は首位・駒大。どちらにとっても負けられない一戦となるだろう。『JR東日本カップ2023 第97回 関東大学サッカーリーグ戦』2部リーグ第19節は、10月29日(日)に全6試合が行われる。