『JR東日本カップ2023 第97回関東大学サッカーリーグ戦』1部リーグ第19節は10月28日(土)と10月29日(日)の2日間で行われた。
1部リーグ第19節 全結果・順位表
東京国際大学 1(1-0)0 日本大学 @東京国際大学坂戸キャンパス第一グラウンド
勝点6差で首位・筑波大学を追う3位・東京国際大学は、優勝のために今節の勝利が必須の5位・日本大学をホームに迎えて対戦。試合は序盤から東国大がペースを握る展開となり、20分には右サイドのペナルティーエリア角付近でボールを受けた髙橋剣士朗がゴール前中央に正確なクロス。これを、フリーで待っていた尾崎岳人がきっちりと決めて東国大が先制点を挙げる。その後も東国大が攻め込むが、日大も集中した守備で追加点を許さず、前半を1-0で折り返した。追い付きたい日大は58分に大久保帆人と永田亮輔のふたりを一気に投入。攻撃のペースを上げ、セットプレーからもチャンスを作るが、最後まで東国大のゴールをこじ開けることなく試合終了。東国大が前半の先制点を守り切り勝利を収めた。同勝点の2位・明治大学が敗れたため東国大は2位に浮上。次節で対戦する首位の筑波大に対し、大きなプレッシャーをかけた。また日大はこの試合に敗れたことにより、優勝の可能性が消滅。現在はインカレ出場圏内の5位をキープしているが、6位以下の勝点も迫っている。
法政大学 1(0-3)5 東海大学 @法政大学城山サッカー場
激しい残留争いから抜け出したい10位・法政大学と、インカレ出場に望みを繋げたい8位・東海大学の一戦。試合開始直後から流れを掴んだのは東海大だった。11分、相川陽葵のコーナーキックをキャプテンの長江皓亮が頭で逸らすと、背後で待っていた藤井一志がすかさず右足で合わせてゴール。早い時間帯に先制した東海大は25分、またもや相川のコーナーキックに、今度は長江が相手のマークを上手く外しヘディングシュートをゴールに流し込んだ。東海大は32分にも、ゴール前の混戦からこぼれたボールに、吾妻駈がいち早く反応。無人のゴールにシュートを流し込んで0-3と法大を突き放した。後半に入っても東海大は攻撃の手を緩めない。70分、藤井はハーフウェーライン付近からゴールエリアまで一気にボールを運ぶと、途中か出場の安藤優人へパス。安藤がこれを右足シュートで決めて東海大が4点目を挙げる。一矢報いたい法大は80分、大畑凜生からのボールを受けた髙橋馨希がペナルティーエリア外からのシュートをゴール左隅に突き刺して1点を返す。しかし、東海大も90+4分、GKからのクリアボールを安藤が奪い、最後は桑山が決めてだめ押しの5点目をマーク。終わってみれば1-5で東海大が大量得点による勝利を収めた。この勝利で東海大は7位・東洋大学との差を1ゲームに縮めた。一方、法大は最下位の国士舘大学が勝利したため、ついに今季初となる最下位へと陥落した。
国士舘大学 3(0-0)2 明治大学 @国士舘大学楓の杜キャンパスサッカー場
最下位に沈む12位・国士舘大学と、6ポイント差をひっくり返す逆転優勝を目指す2位・明治大学の、どちらも負けられない一戦。前半は互いに一歩も譲らず拮抗したゲームとなり、0-0で試合を折り返した。後半に入ると両チーム流れを引き寄せるべくフレッシュな選手を次々と投入。しかし先に結果を出したのは国士大だった。まずは60分に投入された布方叶夢が、出場わずか2分後の62分に結果を出す。国士大は中央で近藤優成がボールをカットすると、自身でボールを運び布方へラストパス。布方はGKを得意の切り返しでかわすと左足のシュートを流し込んで国士大が先制する。その後は両チーム膠着状態となるが、最終盤となった87分から試合は激しい動きを見せる。国士大はスローインからチャンスを作ると、途中出場の東川続がペナルティーエリア内で倒されてペナルティーキックを獲得。これを大西悠介が落ち着いて決め、国士大が2-0とリードを広げる。しかしその2分後の89分、今度は明大・藤森颯太がGKの弾いたボールをすかさず突き刺して1点を返す。だが国士大も3分後の90+2分、ゴール前中央で中村晃大が相手のクリアボールを拾うと、東川へとボールを供給。これを東川が決めて国士大が3-1と明大を突き放す。しかし、明大も90+5分、太田龍之介が倒されてペナルティーキックを獲得。これを太田自身が沈めて1点を返すが、時すでに遅し。ほどなくしてタイムアップの笛がなり、3-2で国士大が逃げ切りに成功。最下位の国士大が2位の明大を破る大金星を挙げた。この勝利で国士大は法政大学、中央大学に勝点で上回り10位に浮上。第4節以来となる自動降格圏内からの脱出を果たした。一方の明大は、東京国際大学、流通経済大学がともに勝利したため4位に後退。優勝から遠のく結果となった。
東洋大学 1(0-0)3 流通経済大学 @東洋大学朝霞キャンパス・サッカー場
インカレ出場権を死守するためにも負けられない6位・東洋大学と、逆転優勝に望みをつなぐべく勝利が欲しい4位・流通経済大学の試合は、序盤から東洋大がボールを握る展開となった。立ち上がりの4分には、裏に抜け出した町田悠のシュートがゴールに吸い込まれるが、これはオフサイドの判定。その後も東洋大が流経大の陣地に攻め込むが、流経大も集中した守りでゴールを許さない。0-0で迎えた後半、今度は流経大がチャンスを作る。流経大は54分、宮田和純が空中戦で競り勝つと、逸らされたボールに前田陸王が反応。松永颯汰が落下してきたボールを腿で上手くトラップし、最後は身体を捻りゴール左に決める。先制した流経大は63分にも、相手DFの判断ミスを逃さなかった田村陸がボールを奪取。そのままペナルティーエリア内に侵入し、シュートを放つ。これは相手DFにブロックされるものの、再びボールをキープした宮田、そしてフリーの松永へとボールが渡る。松永はこれを冷静にゴールネット上へ蹴り込んで追加点。流経大が0-2とリードを広げる。さらに77分、流経大は平野元稀がマイナスのパスをキャプテン八木滉史へ供給。八木が中島舜にワンタッチでパスを通すと、最後は中島がダイレクトでゴール右隅へと叩き込んで3点目を挙げる。東洋大も88分、裏に抜け出した中山昂大からパスを受けた高橋輝が、無人のゴールに流し込んで1点返すが、2点のビハインドをひっくり返すことはできず1-3で試合終了。東洋大はこの敗戦で7位に後退し、インカレ出場圏外に弾き出されることに。しかし6位・桐蔭横浜大学との勝点差は2。まだ逆転出場のチャンスは十分にある。一方、勝利した流経大は順位をひとつ上げて3位に。インカレ出場を確定させた。
桐蔭横浜大学 2(1-0)0 拓殖大学 @三ツ沢公園陸上競技場
インカレ出場圏入りのためにも勝利が必要な7位・桐蔭横浜大学と、残留争いから抜け出したい9位・拓殖大学の一戦。前半は桐蔭大が試合を優勢に進めながらも拓大も堅固な守備でゴールを許さず、0-0のまま終盤へ。スコアレスで試合を折り返すかと思われたが、45+1分、桐蔭大は右サイドでボールを受けた井出真太郎のクロスに、ファーから詰めてきた笠井佳祐がお腹でゴールへと押し込み桐蔭大が先制点を挙げる。しかし後半に入ると試合は拮抗し、両チームなかなかゴールを割ることができない。ようやくスコアが動いたのは78分。桐蔭大の佐藤颯がシュートを放つと、このボールを白輪地敬大が落とし、最後は井出が左足を振り抜いてゴールへとねじ込んだ。試合はそのまま2-0で桐蔭大が勝利。東洋大学が敗れたため、桐蔭大はインカレ出場圏内の6位へと浮上した。拓大はこれで7連敗。順位は変わらないものの、10位の国士舘大学が勝点が2ポイント差と肉薄してきた。
筑波大学 3(1-2)2 中央大学 @味の素フィールド西が丘
第64回中筑定期戦も兼ねた行われた伝統の一戦、筑波大学対中央大学。事前に行われたOB戦、2軍戦ではともに中大が勝利。その勢いか、試合は11位の中大が開始早々に先制する。6分、ペナルティーエリアの左角付近でボールを受けた家坂葉光が、中央の田邉光平にボールを供給。一度は田邉がシュートを放つものの、これは相手DFがブロック。しかし、そのこぼれ球に家坂が反応。再びボールをキープするとゴール右隅に流し込む。中大はさらに20分、相手のボールを奪取した有田恵人がボールを前線に運ぶと、ペナルティーエリア内にいた田邉光平にラストパス。田邉はゴール右に技ありコントロールショットを打ち込んで追加点。中大が0-2とリードを広げる。「やってはいけない時間帯、やってはいけないミスで失点をしてしまった」(筑波大・小井土正亮監督)という筑波大だが、ここから首位の実力をいかんなく見せつける。まずは32分、角昂志郎のフリーキックに半代将都が高い打点からヘディングシュートをゴール左に叩き込んで、筑波大が前半のうちに1点を返す。筑波大は後半の頭から沖田空を投入。「この交代で田村蒼生と山崎太新でサイドから仕掛けよう、という狙いを明確にした」(同監督)。その狙いどおり、後半早々の49分には左サイドで山崎太新がボールを受け、前線へ持ち運ぶとクロスを入れる。これを加藤玄がゴール右へと突き刺して筑波大が試合を振り出しに戻した。「警戒はしていたが、前半のうちに1点を取られたことと、後半開始早々の失点が大きかった」(中大・宮沢正史監督)。試合の流れを掴んだ筑波大は、63分にも田村蒼生が倒されてペナルティーキックを獲得。これを田村自身がど真ん中に決めて、筑波大が逆転に成功する。その後も筑波大が主導権を握り、中大に反撃を許さないまま3-2で試合終了。首位・筑波大が見事な逆転劇で優勝へとあと一歩に迫った。次節はホームで2位に浮上した東京国際大学との直接対決。これに勝利すれば自力での優勝が決定する。一方、敗れた中大は依然11位と、降格圏から抜け出すことはかなわなかった。
首位・筑波大は中央大学を3-2で下し、2位との勝点差6ポイントをキープ。次節で東京国際大学に勝利すれば6年ぶり16回目の優勝が決定する。2位の明治大学は最下位の国士舘大学に敗れたため4位に後退。3位の東京国際大学は日本大学に、4位流通経済大学は東洋大学に勝利し、それぞれ順位をひとつずつ上げて2位と3位に浮上し、インカレ出場を確定させた。次節は、首位・筑波大と2位・東国大、3位・流経大と4位・明大が直接対決。優勝の可能性があるのは、この4チームに絞られた。筑波大を追う2位以下のチームにとっては、負けられない大一番となるだろう。インカレ出場権争いでは、6位の東洋大が敗れたため、7位のインカレ出場圏外に後退。替わって昨年度インカレ王者・桐蔭横浜大学が6位に浮上した。また、1部リーグ残留争いでは、最下位の国士大が明大相手に大金星を挙げ、順位を2つ上げて10位に。自動降格圏を脱出した。とはいえ、11位・中大、12位・法政大学との勝点差は2ポイント。まだまだ接戦は続きそうだ。リーグ戦も残り3試合。大詰めを迎えた『JR東日本カップ2023 第97回関東大学サッカーリーグ戦』第20節は、11月4日(土)と11月5日(日)に行われる。