『JR東日本カップ2024 第98回関東大学サッカーリーグ戦』【1部リーグ】第11節は、7月21日(土)に3試合、22日(日)に1試合が行われた。22日(土)に行われる予定だった『中央大学vs国士舘大学』『東洋大学vs明治大学』は落雷の影響で中止・中断となり、後日改めて延期日程にて開催予定となった。
首位・明治大学を勝点1差で追う筑波大学は、ホームに4位・東京国際大学を迎えて対戦。試合は開始早々の6分に、東国大が依田籟木のゴールで先制点を挙げる。しかし筑波大も29分、田村蒼生の突破から内野航太郎が2試合連続となるゴールを決めて追いつき、1-1で前半は終了。後半は一進一退の攻防戦となったが、76分に筑波大は田村のクロスに内野が頭で合わせて勝ち越しに成功。筑波大が内野の2ゴールで東国大を下した。
首位の明大、3位の中大の試合が延期となったため、勝点を23に伸ばした筑波大が暫定ながらも首位を奪取。筑波大は次節で中大、第13節では明大と対戦する上位対決が続く。首位攻防戦で順位が動くのが、それとも筑波大がこのまま首位を盤石なものとするのか、要注目だ。
5位以下では、5位・桐蔭横浜大学と9位・日本大学、10位の流通経済大学がそれぞれ勝利した。
日大は開始早々の3分に植木颯が挙げたゴールを最後まで守りきって東海大に勝利。日大が9位から6位に大きく順位を上げた一方、東海大はこの敗戦で7位から10位に後退した。流経大は序盤から12位の関東学院大学を圧倒し、12分に松永颯汰が先制点を挙げると、29分に川畑優翔、そして前半終了間際の45+4分にも小澤希海が追加点。流経大は後半早々の50分に試合を決定づける4点目を決め0-4と完勝。松永が1ゴール3アシストの活躍で3試合ぶりとなる勝利を牽引し、10位から7位へとジャンプアップした。
翌21日に行われた駒澤大学と桐蔭大の試合では、桐蔭大が後半早々の52分に渡邊啓吾が挙げた先制点を守りきって勝利。順位は5位のまま変わらないものの、4位・東国大に勝点2差と迫った。
第11節はリーグ戦の折り返し地点となるものの、落雷による影響で各チーム消化試合数に差が出る形となった。筑波大が首位奪取に成功したものの、2位の明大は天皇杯出場と落雷の影響で2試合を残しており、残り試合の結果次第では再逆転も可能な状況だ。また中グループでは日大、流経大、国士大、東洋大がそれぞれ1試合未消化の状況となっており、やや有利な状況。次節、第12節は7月27日(土)に5試合、28日(日)に1試合が行われる。夏季による中断までは残り2試合。中位~下位グループの奮起に注目したい。
1部リーグ第11節 全結果・順位表
1部リーグ第11節マッチレポート
筑波大学 2(1-1)1 東京国際大学 @筑波大学第一サッカー場
勝点1差で首位の明治大学を追う2位・筑波大学はホームに4位・東京国際大学を迎えて対戦。先手を取ったのはアウェーの東国大だった。序盤の6分、東国大は筑波大GKのパスミスからチャンスを作ると、依田籟木がペナルティーエリア内で切り替えしてDFをかわし、左足を振り抜いて先制点を挙げる。しかし筑波大も29分、鈴木遼のパスに田村蒼生が左サイドを抜け出し、最後は内野航太郎が流し込んで1-1に。試合を振り出しに戻して前半が終了した。
後半は一進一退の拮抗した展開となり、両チーム選手交代で流れを引き寄せようとするがなかなか追加点を挙げられない。だが76分、筑波大は交代出場のルーキー・池田春汰が攻め上がってチャンスを演出。田村が左から上げたクロスに内野が頭で合わせて逆転に成功した。筑波大はこのまま1点のリードを守り2-1で勝利。明大の試合が落雷で中断となったため、暫定ながらも明大に勝点で上回り、第1節以来となる首位を奪取した。
東海大学 0(0-1)1 日本大学 @東海大学湘南キャンパスサッカー場
勝点11で並ぶ7位・東海大学と9位・日本大学の試合は、開始早々にスコアが動いた。日大は3分にハーフウェイライン近くで東海大からボールを奪うと、熊倉弘達がドリブルで独走。そのままペナルティーエリアに侵入し、ゴール前にパスを入れる。これを植木颯が左足ダイレクトで合わせゴール。日大が先制点を挙げる。その後は1点を追う東海大と追加点を狙う日大の拮抗した展開が続くが、どちらもネットを揺らすことなく前半が終了。
リードを広げたい日大は後半の頭から國枝蒼空と五木田季晋を投入するが、ゴールにまでは至らない。しかし東海大も決定機を作れないまま0-1で試合終了。先制点を守りきった日大が勝利し、暫定ながら6位に浮上。東海大は10位に後退した。
関東学院大学 0(0-3)4 流通経済大学 @関東学院大学金沢八景キャンパスグラウンド
3連敗中の12位・関東学院大学と2連敗中の10位・流通経済大学。下位に沈むチーム同士の対戦は思わぬ大差がつく形となった。流経大は立ち上がりから関東大を圧倒すると、12分に松永颯汰がゴール前に走り込んでボールをキープ。切り返しで相手をかわし、ゴール左隅にシュートを突き刺す。流経大は29分にも、コーナーキックの流れから松永のクロスを川畑優翔が頭で叩き込んで追加点。さらに前半終了間際の45+4分、松永のコーナーキックを小澤希海が頭で合わせて流経大が0-3と大きくリードして試合を折り返した。
前半はわずかシュート1本に終わった関東大は、松永響をピッチに送り出して試合の流れを変えようとするが、後半早々の50分に流経大・渋谷諒太がダメ押しの4点目を決めて0-4とさらに引き離されてしまう。その後は流経大が危なげない展開で4点のリードを守りきり0-4で快勝。松永颯汰が1ゴール3アシストの活躍で今季初の無失点勝利を引き寄せ、降格圏の10位から7位へと浮上した。
駒澤大学 0(0-0)1 桐蔭横浜大学 @駒澤大学玉川キャンパス
11位・駒澤大学はホームに5位・桐蔭横浜大学を迎えて対戦。順位は開いているものの、両チームの勝点差はわずかに1。駒大にとっては、勝てば一気に順位を上げられる状況だったが、試合は両チーム決定機をモノにできないまま0-0で折り返した。スコアが動いたのは後半序盤の57分。桐蔭大は中盤でボールを奪うと永井大士が前線まで持ち込み、飯島大地にパス。最後は飯島からのパスを渡邊啓吾が流し込んで先制点を挙げる。駒大もその後立て続けに選手を入れ替えて流れを変えようとするが、最後までゴールに結びつかず0-1で試合終了。桐蔭大が先制点を守りきって5位をキープした。
落雷のため中止となった第11節の『中央大学vs国士大学』戦が、8月10日に会場を中央大学多摩キャンパスサッカー場に移して行われた。
1部リーグ第11節 延期分結果・順位表
中央大学 2(0-0)1 国士舘大学 @中央大学多摩キャンパスサッカー場
ともに2連敗中の4位・中央大学と11位の国士舘大学。中大は5位の日本大学に勝点1差にまで詰められ、国士大も自動降格圏内に沈む厳しい状況。なんとしても勝点3がほしい両チームの試合は、国士大が主導権を握る展開に。国士大は須藤太一、本間凜がたびたび決定機を作るものの、中大のゴールを割ることができないまま0-0で前半は終了した。
前半の半ばから降り出した雨が、激しくピッチを濡らす中で始まった後半。均衡が破られたのは開始直後の49分だった。中大は水たまりを回避し浮き球でボールをつなぎ、左サイドバックの鈴木登偉が逆サイドにクロスを入れる。これを加納大が頭で合わせて中大が先制。しかし、その後は雨がいっそう激しくなり、両チームなかなかゴールに結びつけることができない。70分過ぎから少しずつ雨が弱まると、1点を追う国士大が積極的に攻撃を仕掛け、84分には途中出場の村上竜規がペナルティーエリアに侵入したところを倒されてペナルティーキックを獲得。これを東川続がゴール右下に沈めて国士大が同点に追いつく。試合は1-1のままアディショナルタイムに突入。ドロー決着かと思われたが、最後の最後にスコアが動いた。90+5分、中大はGK岩瀬陽のロングキックを北浜琉星が前線でキープ。ペナルティーエリアに侵入すると、すかさずマイナスのパスを送る。これを受けた持山匡佑が鮮やかなミドルシュート。ボールはバーを叩きゴールとはならなかったが、跳ね返りを岡崎大智が蹴り込んで中大が追加点。このゴールが決勝点となり、試合は2-1で終了。日大が敗れたことで、中大は5位との差を勝点4に広げて中断期間を迎えることとなった。
7月20日(土)に落雷のため中止となった第11節の「東洋大学vs明治大学」の試合は、8月18日(日)に90分間の再試合として行われた。
1部リーグ第11節 全結果・順位表(8月18日延期分)
東洋大学 1(1-1)1 明治大学 @東洋大学朝霞キャンパス・サッカー場
首位の筑波大学を勝点2差で追う2位・明治大学は、6位の東洋大学と対戦。この試合は7月27日(土)に前半25分まで実施されたが(スコア0-0)落雷のため中止となり、90分間の再試合として行われることとなった。
8月18日(日)に行われた再試合は、立ち上がりから明大が東洋大を圧倒。開始早々の5分には、熊取谷一星のロングパスに中村草太が反応。中村はそのままフリーでボールを持ち上がると、GKとの1対1を制してシュートを突き刺す。その後も明大はボールを保持して試合を優勢に進め、東洋大にボールを触らせない。しかし20分を過ぎたから東洋大も反撃に転じ、27分には右サイドからのスローインを受けた東洋大・村上力己が明大DFに倒されてペナルティーキックを獲得。このチャンスを新井悠太が冷静に沈めて試合を振り出しに戻した。
同点に追いついたことで東洋大勢いに乗った東洋大は、明大から試合の主導権を奪うと新井を中心に明大ゴールを攻め立てる。エンドの変わった後半も変わらず東洋大が試合を優勢に進めるが、どうしても決めきることができず1-1のまま試合終了。両チームで勝点1を分け合うこととなった。
勝てば首位奪還となった明大だが、栗田大輔監督は「4年生は大学生活もラスト4ケ月。選手たちには戦術的なこともテーマも言い尽くしている。だから今日から4ケ月は一切何も言わない。選手たちにすべてを委ねて、何か結果を出せるのか。今日はその初戦だった」と明かす。結果は最高の滑り出しから追いつかれての引き分け。「明大はJ1に5人の内定選手がいるチームだけど、まだまだJ1で通用するような状況ではないと伝えました」と栗田監督。厳しい評価となったが「今日の結果でいい課題が出た。選手が明治のサッカーについて気づいたり、考えたりする機会になったと思う」。首位・筑波大との勝点差は1。間に総理大臣杯を挟むものの、視線は早くもリーグ戦の再開に向かっている。