『JR東日本カップ2024 第98回関東大学サッカーリーグ戦』【2部リーグ】第11節は、7月22日(日)に5試合が行われた。21日(土)に行われる予定だった『日本体育大学vs山梨学院大学』は、落雷のため後日改めて行われることとなった。
前節に今季2敗目を喫し、日本体育大学に首位を奪われた慶應義塾大学。今節は7位の立教大学相手に攻めあぐねる展開となったが、56分にコーナーキックの流れから、塩貝健人がクリアボールを頭で押し込んで慶大が先制。さらにその8分後、齋藤真之介が技ありのシュートを決めて追加点。そのまま慶大が2-0で快勝し、前節の敗戦を払拭した。また、日体大は落雷の影響で試合が延期となったため、勝点3を積み上げた慶大は首位に返り咲くこととなった。
3位以下では、3位の順天堂大学、4位の法政大学、5位の早稲田大学がそろって敗戦。法大は6位に、早大は7位に後退した。
順大は最下位の城西大学に先制され、一時は逆転したものの終了間際に同点に追いつかれ、アディショナルタイムにペナルティーキックを献上。これを城西大・石倉潤征に決められ4-3で敗れた。城西大は待望の今季2勝目を挙げ、最下位を脱するには至らないまでも11位・拓殖大学を1ゲーム差内に捉えた。一方の順大も今季3敗目を喫したものの得失点差で辛うじて3位をキープしている。また立正大は多田圭佑がハットトリックの活躍で早大を下し、6位から4位に浮上。神奈川大学も拓殖大学に1-3で勝利し8位から5位に順位を上げた。しかしながら、3位・順大から10位・産業能率大学までは勝点1差刻みと依然混戦模様。延期となった2位・日体大の消化分が今後にどう影響するのかも気になるところだ。
2部リーグ第11節 全結果・順位表
2部リーグ第11節マッチレポート
拓殖大学 1(0-1)3 神奈川大学 @拓殖大学八王子国際キャンパスサッカー場
前節、7試合ぶりの白星を挙げた10位・拓殖大学は8位の神奈川大学と対戦。連勝を狙う拓大だったが、先にチャンスを掴んだのは神大。21分、神大は田畑麟が左サイドを突破。藤田仁朗につなぐと、最後は小林洸が合わせて神大が先制する。
1点を追う拓大は、後半の頭から永吉葉太、名古裕二郎のふたりを同時に投入。これが奏功し、56分にはミドルシュートのこぼれ球を佐藤駿介が押し込んで同点に。だが、神大はその10分後の66分、ペナルティーエリア内での競り合いに勝った山本颯太がボールをキープ。すかさず横パスを出すと、中村大輝が左足シュートを決めて再びリードを奪う。神大は80分にも前田快が追加点を挙げて拓大を突き放し、1-3で試合終了。神大は3試合ぶりの勝利で5位に浮上。拓大は連勝ならず、再び11位の自動降格圏内に転落した。
立正大学 3((2-1)1 早稲田大学 @立正大学熊谷キャンパスサッカー場
勝点15で並ぶ、5位・早稲田大学と6位・立正大学の直接対決は、立正大がリードしながらも早大が粘り強く追う展開となった。試合は立正大が2点を先取。まずは開始直後の4分、吉野陽翔のロングパスに多田圭佑が反応。ゴール前でチャンスを作ると、小林篤毅の左からのクロスに多田が頭で合わせて先制点を挙げる。さらに36分、吉野のパスに多田が抜け出して追加点。2-0とリードを広げた。しかし前半終了間際には、コーナーキックからの混戦の中で早大・柏木陽良を倒してペナルティーキックを献上。これを早大・駒沢直哉が冷静に沈めて前半は2-1で終了した。
1点差に詰められた立正大だったが、後半序盤の53分には多田が西脇虎太郎からのロングキックを収め、そのままペナルティーエリアにカットイン。ゴール右にシュートを突き刺し3点目をマーク。自身もハットトリックを達成する。再び点差を広げられた早大もアグレッシブに攻撃を仕掛け、終了間際の90分には東廉がゴール前に頭から飛び込んで1点を返すが、反撃はここまで。リードを守りきった立正大が2連勝を収め、勝点18で4位に浮上。早大は順位をふたつ落として7位となった。
産業能率大学 3(2-0)0 法政大学 @産業能率大学第二グラウンド
4連勝中の4位・法政大学と降格圏に沈む11位・産業能率大学。5連勝で上位グループ入りを狙う法大にとっては落とせない一戦だったが、試合は立ち上がりから産能大が積極的に攻撃を仕掛ける展開に。だが、産能大も決め手に欠きスコアレスのまま前半も終盤に突入。すると、ここから試合は一気に動き始める。41分、コーナーキックを獲得した産能大は、杉山佳宏の右からのキックに太田翔真が頭で合わせて先制。さらにその2分後の43分、中盤の競り合いに勝った産能大は、八木智哉が素早く前線にボールを展開。一度杉山に預けたボールを受け取ると右足を振り抜いて追加点。わずか2分間で産能大が2-0とリードを広げた。
2点のビハインドを負った法大は、後半の頭からルーキーの小倉幸成を投入。しかし攻めあぐねる展開が続きゴールには結びつかない。すると終了間際の89分、産能大は高い位置で法大からボールを奪い押川優希がシュートを放つ。これは法大GKに弾かれるが、こぼれ球を鈴木琉矢が押し込んで3点目を挙げる。最後の最後にダメ押しの追加点を挙げた産能大が3-0で完勝。順位は10位とひとつ上昇に留まったが、勝点を13に伸ばし中位グループを射程圏内に捉えた。一方、5試合ぶりの黒星を喫した法大は6位に後退。混戦の中位グループを抜け出すことは叶わなかった。
城西大学 4(2-2)2 順天堂大学 @JOSAI SPORTS FIELD 第1グラウンド
首位・日本体育大学に勝点2差と迫る3位・順天堂大学と最下位・城西大学の試合は激しいゴールの奪い合いとなった。試合は10分を過ぎたころから一気に動き始めた。まずは14分、城西大・浅見竜輝が中盤でボールを奪うとすかさず佐藤遼にパス。佐藤は前に出ていた順大GKの背後を狙うロングシュートを放ってゴールネットを揺らした。「思わぬプレゼントだった」と東海林毅が苦笑いする予想外のゴールで城西大が先制する。城西大はその4分後の18分にも、佐藤、浅見とつなぎ最後は山根成陽が左足で合わせて追加点。2-0とリードを広げた。しかし順大も22分、入江羚介のクロスに清水勇貴が頭で合わせて1点を返すと、終了間際の45分には岩井琢朗の右からのコーナーキックを、宮川歩己がヘディングシュートを叩き込んで同点に追いつく。
スコアを2-2とし勢いに乗る順大は後半早々の51分、コーナーキックのチャンスを獲得。するとこれを城西大GKがキャッチミスし、カバーに入ったDFのオウンゴールで追加点。順大が3点目を挙げて逆転に成功する。しかし、ここから攻撃のギアを上げたのは城西大だった。「もともと前半は0-0でいければいいと思っていたし、後半に勝負というプランだった」という城西大は55分にキーマンの斉藤涼優を投入。すると斉藤の突破を起点に試合の流れは徐々に城西大に傾き始める。それでも順大の堅固な守備をなかなか突破するまでは至らなかったが、ラスト10分にセンターバックの福元竣を前線に上げて攻勢を強めると90+2分、ついにスコアが動く。城西大は斉藤のコーナーキックに石倉潤征が頭で合わせてゴール。終了間際についに同点に追いつく。しかし城西大は最後まで攻撃の手を緩めず、その3分後には左サイドからペナルティーエリアに侵入した斉藤が倒されてペナルティーキックを獲得。90+7分、これを石倉がきっちりと決めると、ほどなくしてタイムアップの笛。城西大が最後の最後に勝ち越し点を挙げ、4-3で待望の今季2勝目を収めた。
最下位という状況ながらも「最近の試合は内容が悪いわけではなかった」と、ある程度の自信をもって臨んだこの試合だが「選手の質としては確実に順大さんのほうが上」と東海林監督。それでも「思った以上にできていたし、ゾーンに入っていたというか、予想以上のものを見せてもらった」と選手たちのプレー、判断に笑顔を見せた。この勝利を得ても城西大の順位は変わらないが、11位との勝点差を1ゲーム内に詰めるなど反撃の準備を整えた。
慶應義塾大学 2(0-0)0 立教大学 @慶應義塾大学下田グラウンド
3試合連続で白星なしと足踏み状態の続く慶應義塾大学。前節には2敗目を喫し、首位の座を日本体育大学に明け渡しているだけにこれ以上負けることはできない。対するは7位・立教大学。一時は最下位に沈んだものの、対照的にここ3試合は負け無しで順位を着実に上げてきた。そんな両チームの対戦は、立ち上がりから拮抗した展開に。どちらも決定機らしい決定機を作れないまま、0-0で試合を折り返した。
スコアが動いたのは後半。序盤の56分、慶大は右サイドでボールを展開してチャンスを作り、ペナルティーエリアへ。するとDFのクリアを塩貝健人が蹴り込んで慶大が先制する。慶大はその8分後の64分、辻野悠河が自陣から一気呵成にドリブルで持ち上がるとペナルティーエリア手前で齋藤真之介のパス。これを受けた齋藤がゴール右上にシュートを突き刺して慶大が追加点。2点のリードを守りきった慶大が3試合ぶりの勝利を手にした。なお、日体大の試合は落雷で中断となったため、勝点3を獲得した慶大は暫定ながらも首位を奪還した。
落雷のため開始5分で中断となった第11節の『日本体育大学vs山梨学院大学』戦が、8月10日(土)に90分間の再試合として行われた。
2部リーグ第11節 延期分結果・順位表
日本体育大学 3(2-0)1 山梨学院大学 @日本体育大学 横浜・健志台キャンパスグラウンド
2部リーグで唯一、2試合の未消化試合を抱える日本体育大学は現在5位に後退。しかしながら未消化試合で連勝すれば首位を奪取できるポジションにある。対するは7位の山梨学院大学。第7節以降白星のない状況が続いていたものの、先週に行われた第13節で6試合ぶりとなる勝利を収めた。ここで勝てば一気に上位グループに食い込むことができる。
どちらも負けない試合は、互いに譲らない、実力伯仲の一戦となった。拮抗が崩れたのは31分。日体大はゴールまで距離のある位置でフリーキックを獲得。しかし菅野隆星が放ったキックを、宮木優一が頭で合わせるとバウンドしたボールはそのままゴールへ。日体大は38分にも、相手DFのクリアミスを拾った吉崎太雅が、そのままゴールに蹴り込んで追加点。わずかな間に日体大が2得点を挙げ、2-0とリードして前半を終えた。
後半に入ると、山学大は藤田夏寿丸と斎木大和を、日体大は岡﨑大志郎を投入して攻撃のギアを上げる。チャンスは五分と五分ながらも、ゴールネットを揺らしたのはまたもや日体大だった。63分、日体大は菅野のフリーキックを小林隆が押し込んで試合を決定づける3点目をマーク。先制点と同じく、菅野の正確なキックが日体大に貴重な3点目を引き寄せた。一方の山学大も78分、斎木の左からのクロスを村田智哉が合わせて1点を返すが反撃はここまで。試合展開的には互角ながらも、セットプレーなどで得点チャンスを逃さなかった日体大が3-1と快勝し、2位に浮上した。日体大は次週の延期試合に勝てば、首位奪還の可能性も。注目の一戦となりそうだ。